法文を読み解くための立法用語の解説
後
[あと]
→
前
以下[
いか]
→
以上
(以下「…」という。)[(いか「…」という。)]
(1)1つの法令のなかで字句が繰り返し出てくる場合に括弧の前の字句の略称を定めたり、括弧の前の字句を要約して定義する場合に用いる。
(2)その条項以降の全条文(別表・附則を含む)を対象に一貫した略称などとする場合と『(以下この項において「計画道路」という。)』のように略称や定義を特定の条項のみに限定する場合がある。
(3)2つ以上をまとめて1つの略称にする場合は、『以下「用途地域」と総称する』のように「総称する」を用いる。
関連=以下同じ。、定義規定
以下同じ。
[いかおなじ。]
(1)「(…をいう。以下同じ。)」などとして、括弧を用いてある字句を説明して定義する場合などに用いる。
(2)その用語の定義は、括弧内で示す範囲に限られ、「以下同じ。」はその置かれた位置以後の同一の用語のみを対象とし、その位置より前に同一の用語があったとしても、この定義とは関係ないことになる。
以後
[いご]
→
以前
以上[いじょう]
(1)「以上」「以下」は明記された数値(基準値)を含み、「超える」「未満」は含まない。「4m未満」「4mを超える」であれば4mは入らないが、「4m以下」「4m以上」であれば4mは入る。
(2)「以上」「以下」「以前」「以後」のように「以」がつくものは基準値を含むが、「未満」「超える」「前」「後」のようにものは基準値を含まない。
(3)上下の数値を組み合わせて表記する場合は「4m未満2.7m以上」「100平方メートルを超え、200平方メートル以内のもの」のように「以上」と「未満」、「超える」と「以下」(「以内」)をセットにして使うことになっている。
関連=以前
以前
[いぜん]
(1)「以前」「以後」は、「以上」「以下」と同じく、明記された数値(基準値)を含み、「前」「後」は「未満」「超える」と同じく基準値を含まない。たとえば「1月1日以後」であれば1日を含むその後の時間をいうのに対し、「1月1日後」は1日を含まないその後の時間となり「1月2日以後」と同じ意味になる。
関連=前、以上、以内、から
以内
[いない]
(1)「以上」「以前」などと同じく、明記された数値(基準値)を含む。たとえば、「受理した日から7日以内」であれば、最終期日の7日目を含む。「7日内」であれば、7日目を含まないが、「…内」という表現は古い法令以外ではあまりみられない。
関連=以上、以前
一般法
[いっぱんほう]
→
特別法
及び
[および]
(1)英語の「and」のことで、「○○と○○」のように用語を併合的に結びつける接続詞。
(2)法令用語としては、大きく分かれる段落には「並びに」を使い、その下の区分けに「及び」を使う。
関連=並びに
解釈通達
[かいしゃくつうたつ]
(1)法令の施行について責任をもつ中央官庁などの上級の行政機関が法令の施行の際などに、下級の行政機関に対して積極的に法令の各規定の解釈を示す通達。
(2)下級行政機関に対する内部的な命令なので、一般国民を拘束しないが、実際に法令を実施・執行する行政機関の解釈なので実質的には強い力をもっている。
関連=通達
係る
[かかる]
(1)「係る」は結びつける用語と用語の間が密接な関係にある場合に用い、「関する」はもう少し漠然とした広い関係にある場合に用いる。
(2)ただし、「〜についての」「〜に属する」「〜の」といった意味を表す場合にも使われている。
かかわらず
(1)特定の事項について、一般原則的な規定を適用せず、特例を定める旨を明示するときに用いる用語。「(前項)の規定にかかわらず」などのように、特例規定(特別法)のなかに置き、一般規定(一般法)との関係を示す。
(2)「(有すると有しないとに)かかわらず」のように一定条件の有無を問うことなく、という意味に用いる。
(3)「であるのに」という意味で「〜必要があるにもかかわらず」のように用いる。(2)(3)のような日常用語的に用いる例は少なく、(1)の特例を定める用例が多い。
関連=特別法
拡張解釈
[かくちょうかいしゃく]
法文に明記されている文言を形式的に字句の一般的な意味通りにとらえるのではなく、合理的な範囲で若干広げて解釈することをいう。
関連=論理解釈
かつ
(1)「及び」や「並びに」と同様に用語を併合的に結びつける接続詞だが、特に決まった用法はなく、類似した意味で用いられている。
(2)ただし、結び付けられる用語が密接不可分で、一体的な意味を表す場合に用いることも多い。
(3)2つの文章をつなぐ場合は、「…、かつ、…」のように前後に読点を打つ。
関連=及び、並びに
…から…まで
(1)「から」「まで」とも「以前」「以後」と同じく明記された時間などの数値(基準値)を含む。
(2)日影規制の「午前8時から午後4時まで」は、午前8時ジャストと午後4時ジャストの基準時点を含み、その間は全部ということになる(民法139条)。
(3)「第100条から第106条まで(削除)」も同じく基準値を含む(○年度から×年度なども同じ)。
(4)「…の日から起算して」も「以後」と同じく起算日を含む。たとえば、建基法の新用途地域の都市計画決定・告示の期限は「…法律の施行の日から起算して3年以内」となっているので、新法の施行日(平成5年6月25日)の3年目である平成8年6月24日が期限となるとともに既存不適格などの基準時となる。
(5)「…の日から」のように期間を「日」「週」「月」「年」で算定する場合は「後」と同じく、起算時点が午前零時でない限り起算日を含まない(民法140条)。つまり、「受理した日から7日以内」と「受理した日から起算して7日以内」では、前者の方が1日多くなる。
関連=以前、基準時
規則[きそく] 地方公共団体の長が発する命令をいう。地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、規則を制定することができる(地方自治法15条1項)。「省令」としての「施行規則」と区別するため、「細則」という場合が多い。
関連=法令、省令
行政解釈
[ぎょうせいかいしゃく]
(1)行政機関が自らの考えに基づいて行う法令の解釈。
(2)法令、特に法律は一般的かつ抽象的な表現が多いため、法文の字句の意味や具体的なケースでの適用の有無は、行政側である程度法令を解釈しないとその実施は困難である。しかし、行政解釈は直属の下級の行政機関などは別として、裁判所の判断のように法的な拘束力はない。たとえば、建築基準法は技術的な規定が中心なため、建築計画ごとに条件の異なる個別のケースで法令をどのように解釈して適用するか判断が分かれることが多い。
(3)上級官庁が解釈通達した条項でも、確認審査の現場では特定行政庁、建築主事、さらに審査担当者によって解釈のバラツキがあるともいわれる。全国一律の判断基準を求める声もあるが、建築基準行政は自治行政の尊重を図っているので市町村単位の事務を基本とし、地域に密着し、その実状に応じた配慮が求められている。
(4)地域に密着した行政、法的に裁量の余地のない建築主事、個別の物件ごとの行政解釈と強力な行政指導、という矛盾をはらむ制度・運用のなかで、確認審査の現場で日々膨大な数の建築物等が処理されている。
(5)ただし、近年では日本建築主事会議が統一的な解釈の見解を出すなど新たな動きもみられる。
関連=解釈通達、論理解釈、文理解釈、縮小解釈、 拡張解釈
行政実例[ぎょうせいじつれい]→例規
形式的効力の原理[けいしきてきこうりょくのげんり]→法令の優先順位
後段
[こうだん]
→
前段
公布
[こうふ
]
(1)成立した法令を一般に周知させる目的でその法令を公示する行為、つまり一般の国民が知ることができる状態に置くことで、法令は官報に登載されることによって公布とされる(昭32・12・28最高裁判決)。
(2)法令はこの公布によって効力を生じる(公布の厳密な時点は官報が大蔵省印刷局官報課または東京都官報販売所に到達した時)。
(3)地方公共団体の条例は、制定する条例の定めに従って公布されるが、都道府県や大きな市では公報に掲載され、小さな市町村では役場前の掲示板に掲示されることが多い。
関連=施行
超える
[こえる]
→
以上
告示[こくじ] 国や公共団体の行政機関が、特定の事項を広く一般に知らせること。
(1)国の場合は官報に掲載され、地方公共団体の場合は一般に公報または掲示場等に掲載される。
(2)建基法では、政令の委任により「建設省告示」として、詳細な技術的な基準が定められている。
後法優先の原理[ごほうゆうせんのげんり]→法令の優先順位
細則[さいそく]→規則
施行
[しこう]
(1)法令の規定の効力を現実に発生させることで、その効力の発生の日を施行期日という。
(2)施行期日は通常、各法令の附則の冒頭に置かれるが、法令のすべて規定が同時に施行されるとは限らず、特定の規定について異なる期日が定められることもある。
施行規則[しこうきそく]→省令
施行細則[しこうさいそく]→規則
施行令[しこうれい]→政令
実体規定
[じったいきてい]
(1)権利・義務などの法律関係について、実質的な内容そのものを定めた規定。建基法の技術的基準などがこれに当たり、確認制度などが手続規定といえる。
関連=手続規定
してはならない
(1)一定の行為を禁止することで、「禁止規定」という。
(2)罰則や制裁措置でその実行性を担保することが多い。
しなければならない
(1)ある種の義務を課すことで、「義務規定」という。
(2)罰則や制裁措置でその実行性を担保することが多い。
(3)行政機関に義務を課す場合にみられる「講じなければならない」「努めなければならない」などは義務を弱めている場合が多いので、「責務規定」「努力規定」と呼ばれる。
準用する
[じゅんようする]
(1)「適用」が規定の本来の目的とする対象に当てはめるのに対し、「準用」は、ある事項の規定をそれに類似するが異なる事項に、必要な変更を加えた上で当てはめること。
(2)建築基準法には工作物など準用規定の用例が多い。
(3)「準用」は同じ条文を繰り返さずに簡潔に内容を表せるが、必要な修正を加える必要もあって、条文としては分かりにくくなりやすい。そのため、分かりにくい部分を補足する「読替規定」をおくのが通例である。
(4)準用をさらに準用するものを「孫準用」という(土地改良法111条)。
(5)「準用する」の類似用語に「例による」があり、前者が個々の規定を対象とするのに対し、後者は法令の制度や規定を包括的にあてはめる場合に用いられれる。
関連=読替規定
条・項・号
[じょう・こう・ごう]
(1)法令は内容が多岐にわたるので、理解しやすく、検索しやすいように箇条書きの形を取っている。法令の規定する内容に従って箇条書きに区分したものが「条」である。
(2)「条」を更に区分する段落を「項」という。「条」のなかの「項」には「2、3、4…」の算用数字で項番号が付けられる。ただし、「項」は条の文章の段落であり、「条」や「号」ほど独立性があるとされていない。「条」のなかの「項」に項番号を付けるのは、検索・引用に便利なためである。「項」の第1項は条名の下から書き出すので、第1項なのが明らかなため、第1項に項番号は付けない。
(3)「号」は、「項」のなかで、「一、二、三…」の漢数字を使って、いくつかの事項を列記するためのものである。「号」を細分化するときは「イ、ロ、ハ…」を、それを更に細分化するときは「(1)、(2)、(3)…」などを用いる。
上位法令優先の原理[じょういほうれいゆうせんのげんり]→法令の優先順位
省令[しょうれい] 各省大臣が発する命令をいう。建基法は、「建設省令」として「建築基準法施行規則」を置き、手続的な規定を定めている。
関連=法令
条例[じょうれい] 地方公共団体がその議会の議決を経て制定する法をいう(憲法94条)。憲法に基づき、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができる。市町村の事務に関して、都道府県も条例で必要な規定を設けることができる。
関連=法令
推定する
[すいていする]
(1)「みなす」が法令上の権限で一方的に決めてしまい、反論できないのに対し、「推定する」は事実が推定と異なるときは証拠をあげて否定すれば認定を受けない。
(2)法令を適用するには事実関係を確定しなければならないが、その確定が難しい場合に予測して事実関係を推察するもの。
(3)民法や商法などの私法規定に多く見られるが、行政法規での用例は少なく、特に建築基準法では「みなす」が多用されている。
関連=みなす
速やかに
[すみやかに]
(1)「直ちに」と「遅滞なく」の中間の即時性で使われているが、「できる限り速やかに」から「なるべく速やかに」くらいの幅で、訓辞的な意味合いにすぎないことがある。
(2)「直ちに」「遅滞なく」と比べ、違反した場合に罰則の問題が発生することが少ないといえる。
関連=直ちに、遅滞なく
する
(1)法律で規定内容を創って設けたことを宣言する場合などに、動詞の終止形として用いる。
関連=とする、することができない、することができる、するものとする
することができない
(1)法令上の権利・能力・権限などがないことを表す。たとえば、一定の規模・用途の建築物の工事は、建築士法3条から3条の3に規定する「建築士の設計によらなければ、することができない」(建基法5条の2)などは、建築設計の事実上の能力に関係なく、法律に基づく資格のない者が設計した建築物の工事はできず、またそれに違反するものは確認申請を受理されないし、検査済証も交付されない。
関連=する、とする、することができる、するものとする
することができる
(1)事実上の権利・能力・権限とは関係なく、本来の権能ではないが法令によって権能が付与されていることを表す。たとえば、防火・準防火地域で耐火建築物にしなければならない規定で、「準防木三」は一定の「準耐火建築物<略>とすることができる」など(法27条)。
関連=する、とする、することができない、するものとする、準耐火建築物
するものとする
(1)(イ)解釈上の疑義が発生しやすい場合に法律上の関係を確認するために用いる。(ロ)行政機関に緩やかに一定の義務を課す場合に用いる。(ハ)特に意味はなく法文上の語感として用いる。
(2)(イ)は解釈上の疑義を避けるために、念のために設ける場合で、たとえば計画道路の規定(建基法52条6項)において、前面道路とみなした計画道路は、関係規定を「適用するものとする」とし、計画道路の部分は敷地面積から除く(「算入しないものとする」)としている。これは計画道路を前面道路とみなすからには、前面道路に関する各規定が適用され、その部分は敷地面積にも算入されないことになるが、それを念のため確認する表現といえる。「適用する」「算入しない」と言い切ってしまうと、本来適用されないものに、新たに適用するため規定を設けた、と解釈できてしまうからである。
(3)(ロ)は断定的に義務を課すというより、取扱いの原則や方針を宣言する場合にもみられる。たとえば、児童福祉施設の設置(児童福祉法35条)で、命令の定めるところにより国は「設置するものとする」、都道府県は「設置しなければならない」として、行為の義務付けの度合いを変えている。「ものとする」という表現で、基本法をはじめ訓辞規定や努力規定などのなかでもよく用いられる。(4)(ハ)は「Aとあるのは、Bと読み替えるものとする」など読替規定での用例が多い。
関連=する、とする、することができない、することがで きる、訓辞規定、努力規定、読替規定
政令[せいれい] 内閣が制定する命令をいう。政令には、憲法や法律の規定を実施するために制定されるものと、法律の委任に基づいて制定されるものの2種類がある。建基法の政令は、「建築基準法施行令」として、法律の委任を受けて技術的基準などの具体的な内容を定めている。
政令
[せいれい]
内閣が制定する命令をいう。政令には、憲法や法律の規定を実施するために制定されるものと、法律の委任に基づいて制定されるものの2種類がある。建基法の政令は、「建築基準法施行令」として、法律の委任を受けて技術的基準などの具体的な内容を定めている。
施行
[せこう]
→[
しこう
]
前項
[ぜんこう
]→
前条
前号
[ぜんごう]
→
前号
前条
[ぜんじょう]
(1)ある条のなかで、その直前の条までを指す場合、それが4以上ですべての条を指すときは「前各条」、一部の条を指すときは「第○条から前条」までと表記する。
(2)3以下の場合は、その数によって「前3条」「前2条」「前条」と表記する。
(3)同じ条のなかで、同一の「前条」を2度以上指す場合、「前条…前条」とはならず、「前条…同条」となる。このように再び同じものを指す場合、2度目以降は原則的に「同条」に変わるので注意する。(4)以上の表記の仕方は「項」「号」の場合も同じである。
前段
[ぜんだん]
(1)条項の文章が2つに区切られているとき、前の文章を「前段」、後を「後段」と呼ぶ。
(2)3つの場合は、「前段」「中段」「後段」となる。
(3)後段が「ただし、…」で始まる場合、その部分を「ただし書」と呼び、その前段を「本文」と呼ぶ。
遡及適用
[そきゅうてきよう]
法令は原則的に施行と同時にそれ以後のものに関して効力を発揮するが、例外として過去の時点にさかのぼって適用されること。消防法に規定にみられる。
その他(の)
[そのた(の)]
(1)「その他」と「その他の」は1字しか違わないが、その意味するところはかなり異なる。「その他の」の前に置かれている用語が「その他の」に続く用語の例示であるのに対し、「その他」は後ろの用語が前の用語にプラスアルファされることを意味する。そのため「その他」の前後の用語の内容はやや異なったものとなり、「その他」に続く後の用語の前に「これ(ら)に類する」「これ(ら)に準ずる」などの文言を置くことが多い。
(2)前と後に置かれる用語の関係が「その他の」では一部と全体、「その他」では対等・独立(並列)となっているといえる。
(3)たとえば、建基法51条に「卸売市場、火葬場又はと畜場、汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設…」という規定がある。ここで汚物処理場、ごみ焼却場は「その他の」に続く「処理施設」の例示にしか過ぎず、この法文は「卸売市場」「火葬場」「処理施設」の3種類を対象にしているのが分かる。
(4)「その他」の場合は、「公共用歩廊その他政令で定める建築物…」(建基法44条1項4号)のように「公共用歩廊」と「政令で定める建築物」が独立した関係なので、政令では一定の上空渡り廊下など公共用歩廊以外のものを定めることになる。
(5)逆に「その他の」では、「壁を有しない自動車車庫、屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の政令で指定する簡易な構造の建築物…」(建基法84条の2)のように、自動車車庫、スポーツの練習場は例示なので、これらを「簡易な構造の建築物」に含めるためにはあらためて政令で指定しなければならない。
(6)ただし、「言論、出版その他一切の表現の自由」(憲法21条1項)ののように、言論・出版ともに表現の一部であるのに「その他の」としていない。「の」の重複を避けるために敢えて「その他」を使用している。このような例外的用法もあるので注意が必要である。
ただし書
[ただしがき
]→
前段
直ちに
[ただちに]
(1)「すぐに」という意味だが、「速やかに」「遅滞なく」よりも即時性が強く、「即時に」「間をおかずに」という趣旨を表す場合に使い、一切の遅滞を許さないとする考え方もある。
(2)ただし、「直接に」「通常の手続きを経ずに」「なんらの条件も付けないで」という意味で使うこともあるので、法文の文脈を誤らずに読む必要がある。
関連=遅滞なく、速やかに
遅滞なく
[ちたいなく]
「すぐに」という意味だが「直ちに」「速やかに」に比べ即時性は弱い。即時性を強く要求する場合もあるが、その場合でも正当または合理的な理由があれば、遅滞は許されると解されている。
関連=速やかに、直ちに
通達
[つうたつ]
上級行政庁が下級行政庁とその職員に、法令の運用方針、解釈などを指示するもの。通達の内容に継続性のあるものや法令施行の取扱方針など、拘束性のあるものを「例規通達」といい、このような建基法に関する建設省の通達に下級庁である都道府県知事、市長村長、建築主事は服従する義務があるといえる。
関連=解釈通達
定義規定
[ていぎきてい]
(1)法令の目的、規定の対象などを明確にするため、そのキーワードとなる重要な用語を定義した条文。
(2)日常生活で使う用語で意味があいまいなものを定義したり、日常用語と異なった内容を定めることもある。
(3)建築基準法では法2条、令1条に「用語の定義」が、法42条に「道路の定義」がある。
(4)法令の前の方で定義規定を置くだけではなく、「斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)」など、定義規定以外で個別の条文のなかのカッコ書により用語を定義することも多い。
(5)定義規定は原則的に総則的部分に置かれ、その用語の定義は法令全体に及ぶとされる。
(6)これに対し、法令の規定のなかでカッコを使って定義した場合は、その用語の定義はカッコの後にある同一の用語のみを対象とする(カッコの前にあるものは対象外)。
関連=(以下「…」という。)、以下同じ
手続規定
[てつづききてい]
(1)権利・義務などの法律関係について実質的な内容そのものを定めた規定を実体規定というのに対し、その実質的な内容を実現するために必要な手続関係を定めた規定を手続規定という。
(2)建基法の確認制度などが手続規定、技術的基準が実体規定といえる。
関連=実体規定
等
[とう]
一般的には「その他これに類する(事項)」という意味で、法令のなかで広く使われている。
(1)章名、節名、見出しで内容を簡潔に表す場合に用いる。
(2)法令の冒頭に置かれる趣旨規定や目的規定などのなかに、法令の内容を要約するために用いる。
(3)カッコ書のなかで(以下「学校等」という。)のように略称を定める規定に用いる。(4)「○○等」として、略称以外の定義規定として定める。
当該
[とうがい]
一般的な意味は「その」「それに当たる」だが、法令用語としては、その直前に明記された特定の対象を受けて正に同一のものであることを示すときに最も多く使われる。修飾語が多くついた用語でも、修飾語なしで「当該○○」と引用することができるため、法令文を簡潔にする効果がある。また「次の各号に掲げる用語の意義」、は「当該各号に定めるところによる」など、「それぞれ対応する」という意味に使われることもある。
同条
[どうじょう]
→
前条
当分の間
[とうぶんのあいだ]
不確定な期間を表し、暫定的な措置であるが、その措置が新たな立法措置で廃止・変更されない限り、いつまでも有効に存続すると解されている(昭24・4・6最高裁判決等)。趣旨としては、当面の臨時的措置を意味し、将来的にはその措置が改廃されることが予想されるものである。
とき・時
[とき]
(1)ひらがなの「とき」は「場合」という用語と同じように一般的な仮定的な条件を示すのに用いることが多いのに対し、漢字の「時」は時点を強調するために用いる。たとえば、仮定的条件の場合は「規定に違反するとき」「別段の定めのあるとき」「必要と認めるとき」とし、時点をはっきりさせる趣旨の場合は「建築協定に加わった者がその時において所有し」「実行の時に適法であった行為」とする。
(2)「とき」と「場合」は同じ意味で文章の前後関係の語感で使い分けられているが、1つの条文に両方を使う場合は、「協議がととのつた場合において建築主事を置くときは」(建基法4条4項)のように大きい仮定条件に「場合」を用い、小さい方に「とき」を用いる。
特別の定め
[とくべつのさだめ]
(1)ある法令・条項の規定事項について、他の法令・条項で別の定めをするときに用いる用語。「特別の定め」や「別段の定め」として、特別法と一般法の関係を示す場合にも用いる。
(2)他の法令との関係を示すだけでなく、「この附則に特別の定めがある場合を除き」のように、同じ法令のなかで他の条項との関係を示す場合にも用いる。
関連=特別法
特別法
[とくべつほう]
(1)広く一般的に規定した法令を「一般法」というのに対し、適用対象の事物・人・地域など特別なものに限定して一般法と異なる規定をした法令を「特別法」という。たとえば、民法に対する商法、民事訴訟法に対する行政事件訴訟法が、一般法と特別法の関係にある。
(2)1つの法律関係で特別法と一般法が併存する場合は、「特別法優先の原則」により、まず特別法を優先して適用し、補充的に一般法を適用することになっている。
関連=特別の定め
特別法優先の原理[とくべつほうゆうせんのげんり]→法令の優先順位
とする
規定内容を創って設けるとともに、これに限るので違反してはならないという拘束的な意味が含まれている。たとえば、外壁の後退距離の規定で「その限度は、1.5m又は1mとする」(建基法54条)は、後退距離の限度は1.5mまたは1mであると宣言するとともに、1.5mまたは1mでなければならず、法律によって例外措置を定めない限り、条例などでこの数値を超えた規定をすることができないことを意味する。
関連=する、するものとする、することができる、するこ とができない
なお、効力を有する
[なお、こうりょくをゆうする]
→
なお、従前の例による
なお、従前の例による
[なお、じゅうぜんのれいによる]
法令の改正・廃止の際の経過措置として、新法施行後も旧法令の規定を当分の間、一定の範囲で生かしておくこと。つまり、規定事項について、新法令・改正法令の規定によることなく、旧法令の規定を適用すること。「なお、効力を有する」とほぼ同義である。
並びに
[ならびに]
(1)英語の「and」のことで、「○○と○○」のように用語を併合的に結びつける接続詞。
(2)法令用語としては、一番小さな結び付けに1回だけ「及び」を使い、その上に段落がある場合は、段落が何回あっても「並びに」を使う。
(3)大きな段落が2つあるとき、大きい方を「大並び」、小さい方を「小並び」と呼び区別する。
関連=及び
不遡及の原則
[ふそきゅうのげんそく]
(1)新たに制定される法令の規定が、その施行前になした行為に対して遡及して適用されることはないという原則。この原則は、刑事法規については極めて厳格に適用されており(憲法39条)、既得権の尊重や法的安定性の観点から、刑事法規以外でも一応の原則とされているが、絶対的なものではない。
(2)建基法は、法律不遡及の原則を明文で定めている(既存不適格建築物)。
関連=既存不適格建築物
附則
[ふそく]
法令の本体をなす部分(本則)の後に置かれ、その法令の施行期日、既存の他の法令の廃止、その法令の施行に伴う経過措置、既存の他法令の改正、その法令の有効期限などの規定からなる。
別段の定め
[べつだんのさだめ]
→
特別の定め
文理解釈[ぶんりかいしゃく] 法令の規定を文字や文章の意味に即して解釈すること。(1)個々の文字の意味を解釈することを「文字解釈」、文章の意味を文法的に解釈することを「文理解釈」と定義する場合もある。(2)法令の用語で特別の定義のないのものは、原則的に一般社会で理解している意味として解釈する。(3)法令の用語、文字は、制定された当時の意味として解釈する。
関連=論理解釈
法律[ほうりつ] 憲法59条の定める方式に従って、国会の議決を経て法律として制定される法をいう。(1)国の法は、原則的に国会で法律として制定される。(2)建築基準法は公法に属し、国と国民の関係を規律し、行政機関に行政処分などの権限を与えている。
法令[ほうれい] 条文のなかの用語としては、条文の主旨によって、その意義は多少異なるが、一般的には成文化された国内法(条約を除く)の意味で用いることが多い。法令の種類には、憲法、法律、議員規則・裁判所規則、行政機関の制定する命令(政令・総理府令・省令・その他の命令)、地方自治法規(条例・規則)がある。
関連=政令、省令、条例、規則、告示、 通達
法令の優先順位[ほうれいのゆうせんじゅんい] (1)法令には専属的な所管事項があるが、所管事項が重複したり、競合することも少なくない。そのため、法律相互間で矛盾が生じた場合は、上位の法令が下位の法令に優先する。これを「形式的効力の原理(上位法優先の原理)」という。(2)同一種類の法律相互間で矛盾が生じると「形式的効力の原理」では解決することができない。この場合の解決方法が「後法優先の原理」と「特別法優先の原理」である。(3)「後法優先の原理」は同一種類の法律相互間で法令の内容が矛盾する場合に、後から制定された法令を優先する。(4)「特別法優先の原理」とは、2つの法令が一般法と特別法の関係にある場合、特別法が対象としている事項については特別法が優先的に適用され、一般法は特別法に矛盾しない範囲で補充的に適用される。これは特別法が一般法より前に制定されたとしても変わらない。つまり、「特別法優先の原理」は「後法優先の原理」の例外といえる。(5)ただし、後法である一般法が特別法の規定の効力を明文で否定したり、その効力を否定することが明らかである場合は後法が一般法であっても優先する。
関連=特別法
本文
[ほんもん]
→
前段
前
[まえ]
(1)「前」「後」は「未満」「超える」と同じく明記された数値(基準値)を含まず、「以前」「以後」は「以上」「以下」と同じく基準値を含む。たとえば、「1月1日後」は1日を含まないその後の時間となり「1月2日以後」と同じ意味になる。
(2)「前」の場合は、「…日の○日前」など期間を逆算しなければならないが、たとえば「…日の3日前までに」であれば中2日を置く趣旨とされる(昭34?・○・○最高裁判決)。しかし、「…日の3日前に」であれば中2日(昭34・6・26最高裁判決)または中3日(昭10・7・15大審院判決)を置くというように見解が分かれている。
関連=以前、から
又は
[または
]
(1)英語の「or」のことで、「○○か、○○か」のように用語を選択的に結びつける接続詞。
(2)法令用語としては、大きく分かれる段落に「又は」を使い、その下の区分けに「若しくは」を使う。
関連=若しくは
みなす
(1)本来性質の異なるものを一定の場合に同様に扱うこと。たとえば2項道路の「特定行政庁の指定したものは、道路とみなす」のように、幅員4m未満で建築基準法上の道路の定義に該当しないものを、法令上の道路(4m未満でも4mあるもの)として取り扱うこと。
(2)法令上の権限として決めているので反論できない(反証をあげて争うことはできない)。建築基準法での用例は非常に多い。
関連=推定する
未満
[みまん]
→
以上
若しくは
[もしくは
]
大きく分かれる段落には「又は」を使い、その下の区分けに「若しくは」を使う。その「若しくは」のなかをさらに区分けするときは、もう一度「若しくは」を使う。前者を「大若し」、後者を「小若し」ともいう。
有権解釈
[ゆうけんかいしゃく]
権限のある機関が行う法令の解釈。厳密には確定判決を通じて行われる裁判所、最終的には最高裁判所の解釈が該当する(憲法81条)。が、法令の施行責任をもつ行政機関の解釈も有権解釈と呼ばれることも多い。
関連=行政解釈
読替規定
[よみかえきてい]
(1)法令の規定を本来の対象事項以外の類似事項に、必要な変更を加えた上で当てはめる「準用規定」において、その準用条文の後段に変更内容が分かりやすいように明記する規定。
(2)「準用規定」で「×条に掲げるものについては、○条の規定を準用する」とし、その後段の「読替規定」で「この場合において、○条中「A」とあるのは、「B」と読み替えるものとする」となる。たとえば、建築物の規定を工作物に準用する場合、「床面積の合計」を「築造面積」に読み替えるなど。
(3)「読替規定」は準用する内容を分かりやすくするためだけではなく、規定内容を変更する場合にも用いられる。確認申請の建築設備への準用で、審査の応答期間を受理した日から7日または21日以内を、7日以内のみに読み替えるなど。
関連=準用する
例規[れいき] 法令上の解釈上の疑義について、各行政庁が建設省に照会し、建設省が回答したもの。「行政実例」「照会回答」ともいう。
例による
[れいによる]
「適用する」「準用する」が個々の規定をある事項にあてはめるのに対し、「例による」は原則的に制度や法令の規定を包括的に他の類似の事項にあてはめる場合に用いる。そのため、「例による]は、法律の規定だけではなく、法律に基づく命令・規則も対象となる。
関連=準用する、なお、従前の例による
論理解釈[ろんりかいしゃく] 法理の文字や用語のみにとらわれず、その背後にある社会事情や他の諸規定との関係などを勘案し、道理・理屈に重点をおいて解釈すること。(1)法令の目的・主旨に重点を置き、妥当な結果を得られるように解釈することを「目的論的解釈」という。